内密出産に対する行政対応の必要性

内密出産とは、女性が病院などにだけ身元を明かして出産し、子が一定の年齢に達して希望した場合に母親の情報を開示します。妊娠を相談できない女性に孤立出産を思いとどまらせて母子の命を守るとともに、子が出自を知る権利を保障する狙いがあります。母親の名前を記さず出生届を提出するため、母親の戸籍にも出産の事実が記載されません。日本では法整備がされておりません。
親が育てられない子どもを匿名で預かる、こうのとりのゆりかごを運営する慈恵病院では、匿名での出産を希望する臨月の女性を病院で保護していると発表しています。初めての内密出産となる可能性があり、子どもが不利益を受けないための必要な対応を急ぐよう行政に求めています。慈恵病院では、内密出産の受け入れを2019年12月に表明しています。
内密出産や匿名出産の場合、病院は実母の名前を記さずに出生届を提出することになります。ただ、国内では法整備がされておらず、こうした出生届が受理されず、子どもの戸籍が作られないおそれもあります。慈恵病院は、これまでも、内密出産への対応について行政に指導や支援を求めてきました。現行法の中で、赤ちゃんの不利益を最小限にとどめるケアをすることが大切です。

(2021年10月30日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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