冬の皮膚のかゆみ

 健康的な皮膚は軟らかくしっとりしています。しかし、冬は汗や皮脂の量が減ります。寒さで血液の循環が悪くなると、角層で水分を保つ働きをする部質の分泌も少なくなります。皮膚が乾燥して硬くなり、ひび割れたり、はがれたりして荒れ、すき間ができてしまいます。できたすき間からも水分が蒸発しやすくなり、かさかさになった状態が乾燥肌です。乾燥肌には、ほこりなどの異物が外側から入りやすくなります。また、衣服による摩擦などの刺激も受けやすくなります。かゆみを感じる知覚神経は、通常は皮膚の奥の方にありますが、肌が乾燥すると、異物や刺激を警戒し、皮膚の表面まで伸びてきます。かゆみ神経に、異物や刺激が接することにより、かゆみが生じます。
 皮膚のかゆみを防ぐには、乾燥肌にならないようにすることです。入浴時、全身を毎日せっけんで洗う必要はありません。洗いすぎると、皮脂や皮膚の水分を保つ成分が流し取られてしまいます。入浴後の保湿も大切です。乾燥しやすい部分に市販の保湿クリームを塗ることも大切です。乾燥した肌には、衣服による摩擦や圧迫などの刺激で余計かゆくなります。縫い目の硬いものや毛羽立った素材などは避けるべきです。血行が良くなると知覚が過敏になり、かゆみが増すので、アルコールや辛い物は控えたほうがよいでしょう。

(2016年12月22日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。