出生前診断シリーズ―Ⅷ

遺伝カウンセリングとは

 日本産科婦人科学会では、倫理に関する見解の「出生前に行われる遺伝学的検査および診断に関する見解」(2013622日)において、遺伝カウンセリングとは遺伝性疾患の患者、あるいはその可能性をもつ者、家族に対してその後の選択を自らの意思で決定し行動できるように、臨床遺伝学的診断、医学的判断に基づき適切な情報を提供し、支援する診療行為であると定義しています。わが国の遺伝カウンセリングに関しては、日本人類遺伝学会と日本遺伝カウンセリング学会が共同で、臨床遺伝専門医の認定を行っており、遺伝カウンセリングの中心的な役割を担っています。
米国の遺伝カウンセラー学会は、「遺伝カウンセリングは、疾患の遺伝学的関与について、その医学的影響、心理学的影響および家族への影響を人々が理解し、それに適応していくことを助けるプロセスである。このプロセスには、1)疾患の発生および再発の可能性を評価するための家族歴および病歴の解釈、2)遺伝現象、検査、マネージメント、予防、資源および研究についての教育、3)インフォームド・チョイス(十分な情報を得たうえでの自立的選択)、およびリスクや状況への適応を促進するためのカウンセリング、などが含まれる」としています。
遺伝カウンセリングは遺伝学的な問題をかかえるクライアントの状況を聞き、それに対して適切な情報を提供し、クライアントが自律的に取るべき判断ができるように支援するプロセスであるといえます。カウンセリングを受ける対象者は、患者でなくとも患者の家族や高年妊娠の妊婦といった場合もあり得ます。

(吉村 やすのり)

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