術後回復能力強化プログラムとは

 開腹手術であれば、絶飲絶食、麻酔が切れた後の強烈な痛みは当たり前、というイメ-ジがゆきわたっています。ただ最近は手術前後のこうした苦痛をなるべく抑え、患者の負担を軽減する取り組みが出てきています。これは、術後回復能力強化プログラムと呼ばれ、術後の体力回復を早めて入院期間を短くすることにもつながります。これまで医療現場では、病気の治療が優先され、手術後の痛みは放っておかれることがほとんどでした。痛み止めを処方しても、服用したかなどの管理を十分行わない医療機関もありました。しかし最近では、術後の痛みを緩和することは、患者の体力回復につながるとの考え方に変わってきています。
 術後回復能力強化プログラムにより、患者自身は体力回復までの期間が短くなり、早期の職場復帰が可能になります。医療機関側にとっても退院が早くなることで、より多くの患者を受け入れることができるようになるメリットがあると考えられています。入院日数の短縮については、すべての手術に当てはまるわけではありません。医療費削減の効果についても、もともと高額の米国などと違って自己負担額が少ないため、患者本人が効果を実感しにくい面があります。

(2015年6月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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