出生率の上昇

 厚生労働省がこのほど公表した人口動態統計によれば、2015年の合計特殊出生率は岡山県を除く全都道府県で上昇していました。2014年と比較して伸び率が最も高いのは0.14ポイントアップした島根県で、出生率は沖縄県に次ぐ全国2位の1.80になりました。出生率の変動要因は複雑ですが、鳥取県も出生率が8位から4位となるなど、移住や子育て支援に熱心な県の伸びが目立っています。出生率上昇は、団塊ジュニアの出産タイミングが遅くなったのが要因で、全国的な傾向となっています。この上昇も長くは続かないと思います。
 出生率は第1子を産んだ時の親の年齢が低いほど高くなります。ところが妊娠する力は30歳を過ぎると衰えるという事実を知らず、無理な不妊治療で傷つく人が多くみられます。正しい知識を社会全体で共有し、子どもが欲しい人は20代で産める社会にしなければ、保育所をいくら増やしても出生率の上昇は望めません。婚活に力を入れる自治体が増えていますが、カップルが35歳以上では出生率を高める効果は薄いものとなります。若い世代の出産・子育てを社会で支えなければ、子どもは減る一方です。

(2016年6月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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