刑罰の一本化の意義

現在の刑罰は、刑務所で木工や印刷といった刑務作業をしなければならない懲役刑と、その義務はない禁錮刑という2種類に分かれています。現在の仕組みは1907年に制定され、当時懲役研は受刑者を懲らしめるために刑務作業をさせるという考えでした。政府は今国会に刑法改正案を出していて、成立すれば刑務所での刑務作業は義務でなくなり、拘禁刑という新しい刑罰をつくることにしています。
刑務所を出所後に再び罪を犯す人の割合が増え続けています。出所翌年の年末までに再び刑務所に入る割合は、全ての年齢の平均より65歳以上の高齢者のほうが高くなっています。体の機能が弱まったまま出所すれば、生活に困り犯罪にまた手を染めることもあります。それを防ぐためにも、刑務所で回復のための訓練を受けることが大切です。短い刑期の間に刑務作業だけをさせるより、二度と繰り返さないようにするための方法を教えた方が効果的だと考えられています。
拘禁刑では、改善更生を図るために、その人の特性に応じて刑務作業と立ち直るための教育を組み合わせられるようになります。しかし、改正法が成立しても、拘禁刑が実際に始まるまでは3年ぐらいかかる見込みです。刑務所の準備が必要ですし、懲役刑と禁錮刑を定める約860本の法律も、拘禁刑に置き換えるために改正しなければなりません。

(2022年4月19日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。