労働人口の確保

 少子高齢化により女性や高齢者の就労促進が必須となってきています。わが国の労働力人口は、何も策を講じなければ、現在の約6,600万人から5,800万人に減ると予測されています。労働時間短縮も進む中で、労働力の減少は、時間当たり労働生産性の向上がなければ、生産力という経済の供給面で成長の大きな制約となります。労働者の減少は、それを埋め合わせるだけの1人当たり賃金の増加がなければ、勤労収入の減少につながります。
 少子高齢化が進んでも労働力人口を維持、もしくはその減少幅をなるべく小さくするような方針を考える必要があります。そのためには人口に占める働く意思のある人の比率である労働力率を向上させなければなりません。人口が減っても労働力率を高められれば、労働力人口は人口ほどには減少しないで済みます。壮年男性の労働力率は100%に近く達しており、労働力率を高める余地があるのは女性と高齢者です。例えば30代の女性と60代の男性の労働力率をそれぞれ1015ポイント引き上げられれば、2030年にも労働力人口は6,400万人程度を維持できると推計されています。女性の労働力率向上のためには、配偶者控除の削減・撤廃を財源にして、年少扶養控除の大幅引き上げなどで、女性の就労促進と子育て支援を同時に達成するような税制改革も必要になります。高齢者の労働力向上には、定年年齢や年金支給開始年齢引き上げも必要になります。

(2017年4月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。