卵巣がんに対するiPS免疫細胞による治療

京都大学らの研究グループは、卵巣がんが再発し、有効な治療法がなくなった患者にiPS細胞から作った特殊な免疫細胞を投与する治験を始めています。卵巣がんを狙い撃ちできるのが特徴で、副作用が少ないと期待されています。
治験では、備蓄された他人のiPS細胞に、卵巣がんを効率良く見つけ出すセンサーとなるたんぱく質であるキメラ抗原受容体(CAR)の遺伝子を組み込み、がんを攻撃する免疫細胞であるナチュラルキラー(NK)細胞を作製しました。明細胞がんの腹膜播種の患者の腹腔内に投与されました。この患者の状態では手術はできず、抗がん剤の効果もほとんど期待できません。現時点では目立った副作用は確認されていません。
iPS細胞由来の免疫細胞を使ったがん治療は、千葉大学と理化学研究所のグループが、難治性の頭頸部がんを対象に国内初の治験を進めています。今回の治験では、卵巣がんに特化して働く免疫細胞を使っていることから、治療効果も期待できます。

(2021年11月12日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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