受動喫煙に憶う

 国会議員の中には、ヘビースモーカーが多いことがよく知られています。ある党の国会対策委員会の部屋は禁煙になっていないそうです。朝日新聞の記者手帳に書かれていましたが、一服したいがために国会対策委員会部屋を訪れる議員も多いそうです。国会議員の中には、妊娠や出産を経験する女性議員や嫌煙家もおられると思います。ほとんどの愛煙家は、ノンスモーカーがどうして禁煙!禁煙!とうるさく言うのかと思っています。これまでわが国においては、たばこを吸っている人に対して寛容な国民が多かったように思います。しかし、最近街で喫煙所以外でたばこを吸っている人を見かけなくなりました。また吸殻が落ちていることも少なくなりました。大変良い傾向です。
 2020年の東京オリンピックに向けて、受動喫煙が大きな問題となっています。たばこを吸うことは本人の嗜好ですから、無理やり禁止させることはできませんが、他人に迷惑をかけることは許されません。迷惑だけではなく、他人のがんのリスクを高めるなどの危害を与えます。また、大人の歩きたばこは、歩く子どもにとって非常に危険です。たばこを吸っている時は、なかなかそのことに気がつきません。私もヘビースモーカーで35年間喫煙を続けてきました。止めてはじめて、いかに他人に迷惑をかけてきたかが理解できました。国民の模範となるべく国会議員は、禁煙に努めるべきです。病院のほとんどは敷地内禁煙です。医学会によっては、喫煙家は学会員になれない場合もあります。自宅で喫煙が許されるのなら吸っても構いませんが、公の場で吸うことは止めるべきです。「たばこぐらいいいでしょう。」は許されません。医療倫理の原則においても、自律性は他者に対して危害を与えないことが前提となっています。愛煙家はその点をよく考えるべきです。

(吉村 やすのり)

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