面前DVとは、親が子どもの前で配偶者を殴ったり、怒鳴りつけたりすることによる子どもへの心理的虐待をいいます。近年、児童虐待が増えています。中でもこの面前DVが多くなっています。夫婦喧嘩が高じて起きることもあり、知らず知らずに虐待の当事者になっていることがあります。
面前DVが起きる背景には、子育ての不安やストレスを夫婦間で共有できないというコミュニケーション不足があります。子どもは大人に言われたことを完璧にできません。親がストレスを抱えていると、その大前提を忘れ、つい声を荒げたり、手を出したりし、時に徐々に虐待へとエスカレートすることもあります。全国の児相が対応した児童虐待の件数は、2015年に10万3,260件と、10万件を超えました。件数を種別でみると、面前DVなどの心理的虐待が4万8,693件で最も多くを占めています。
（2016年12月6日 日本経済新聞）
（吉村 やすのり）
