口唇口蓋裂の診療連携の必要性

口唇口蓋裂は、上の唇と口の中の天井にあたる口蓋が裂けた状態で赤ちゃんが生まれてくる先天性の病気です。わが国の出生頻度は500人に1人程度とみられています。遺伝的な要因と母胎を取りまく環境的な要因が積み重なり、唇や口蓋の形成が妨げられた結果と考えられていますが、明確な原因はわかっていません。
上顎の歯茎の骨が欠損した顎裂をあわせ持つことも多いほか、口蓋だけに裂け目がある口蓋裂、唇の両側に裂け目がある両側完全唇裂など、部位や程度によって様々な種類があります。
治療は、口唇裂や口蓋裂を適切に塞ぐ手術が基本です。手術後も言葉の発達の検査を続け、必要に応じて発音の訓練を受けることが必要です。歯並びに異常が出る場合が多いので、矯正歯科や小児歯科の診療も必要です。形成外科や歯科、耳鼻科が、互いに連携するチーム医療体制を整える病院も増えてきています。
顎裂の治療に腰などの骨を移植する骨移植など、治療法も進歩してきています。適切な治療で言語や咀嚼機能を正常化し、外見も周囲が気づかない程度に目立たなくなります。

(2022年7月22日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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