国民健康保険の赤字

 厚生労働省によれば、自営業者や非正規社員らが加入する国民健康保険(国保)は、2015年度に2,843億円の赤字を計上しています。国保は健康保険の一つで市町村が運営しています。以前は自営業者や農林水産業者を中心にした公的保険でしたが、最近では企業を退職した高齢者や非正規社員らが増えています。加入者は3,182万人で、毎年生じる赤字を市町村が税金で穴埋めしています。
 国保は他の健康保険に比べると、加入者の高齢化が進んでいることも財政を厳しくしています。平均年齢は2014年度時点で51.5歳で、6574歳の高齢者が4割近くを占めています。高齢化するほど医療費はかさむため、国保の1人あたりの医療費は33.3万円と、大企業の社員が入る健康保険組合の2倍以上になっています。加入者の収入が低めのため保険料を上げにくい面もあります。公的年金等控除を圧縮するなどして、高齢者であっても支払い能力に応じた負担を求めるべきです。

(2017年3月1日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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