夏の痛風

国民生活基礎調査によれば、痛風患者数は右肩上がりに増加し、2013年には100万人を突破しました。30年前の4倍に達しています。尿酸は体内でも作られますが、食品に含まれるプリン体が分解される過程でもできます。血液中の尿酸値が100㎖当たり7.0㎎を超えると高尿酸血症です。尿酸が結晶化して関節にたまるようになり、痛風発作を起こします。足の指や足首に発作が起きるのは、体温が低いので結晶がたまりやすく、歩くときの振動ではがれやすいためです。女性ホルモンには尿酸値を下げる作用があり、痛風患者の95%は男性です。
ビールなどのアルコール自体に尿酸値を上げる作用があり、酒量が多いほど痛風の発症率は高くなります。尿酸値を上げない1日の目安量は、ビールで中瓶1本、日本酒なら1合程度です。尿酸の排出を促し、尿酸値を下げる作用があるたんぱく質、カゼインを含む牛乳やチーズなど乳製品は有効です。脱水は尿酸値を上げることになるので、発汗量が増える夏は特に注意が必要です。尿酸は尿として体外に排出されます。水をたくさん飲んで、脱水を防ぎ、尿酸の排出を促すことが大切です。ウオーキングや水泳といった有酸素運動は、尿酸値を下げるので有効です。筋力トレーニングなどの激しい無酸素運動は、尿酸値を上げる作用があるので注意が必要です。

(2018年7月14日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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