外国人1割時代の到来

日本で暮らす外国人が、国想定の1.5倍で増えています。現在は約320万人で人口の2%です。国は欧米並みに人口の1割を超える時期を2067年ごろと想定していますが、10年ほど早まるペースです。2050年前後に1,000万人超となり、人口の1割を占めるとも推計されています。
背景には、在留期間3カ月以下などを除く人数が、2023年6月時点で最多の中国の78万8千人やベトナムの52万人以外のアジア各国の伸びがあります。インドネシアの12万2千人は、前年同期より47%増えています。ミャンマーの7万人は45%増、ネパールの15万6千人も24%増となっています。OECDによれば、G7のうち日本以外の国は、いずれも移民が人口の10%以上を占めています。

家族を含めて日本で長く暮らせる環境の整備も急務です。技能実習は家族帯同が認められていませんが、高度人材は配偶者や子どもを出身国から呼び寄せられます。しかし、外国出身の子どもの受け入れ体制が整っていません。文部科学省は、2014年に日本語力が十分でない子は、小中学校の通常授業に代えて日本語を教えられる仕組みを導入しました。しかし、指導できる教員がいないなどの理由で、対象児童生徒の3割が受けられていません。高校進学は、日本語による入試の壁が立ちはだかっています。
来日する外国人が増えるだけでなく、日本で暮らす期間も長期化しています。国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、1996年に来日した人で3年以上生活したのは28.8%でしたが、2006年では32.3%、2016年では41.7%と上昇傾向がみられます。人口減で外交人材に頼らざるを得ない状況下で、長期的にどんな社会を目指すのかの議論が必要な時期にきています。

(2024年3月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。