大学教育に対する支援

 私立大学と国立大学では国の支援に大きな格差があります。大学の私立大学振興を本気で進めるためには、教育・研究の質保証を確実にした上で、私学助成増額が避けて通れません。厳しい国家財政下での増額は、国立大学の運営費交付金削減につながりかねません。日本私立大学団体連合会によると、1校あたりの公費投入額は私立大学の3.5億円に対し、国立大学は37倍の128億円となっています。学生1人当たりでは私立大学は14万円に過ぎません。
 経済協力開発機構(OECD)加盟国の学生1人当たり公財政支出をみると、日本は69万円で平均99万円を大きく下回っていますが、国立大学は193万円で私立大学が16万円です。日本の高等教育への公財政支出は先進諸国で最低と言われますが、国立大学に限るとトップクラスになります。経営状況の格差拡大も深刻です。2012年度に赤字経営だった私立大学は、地方・中小校233校は54.1%に上りますが。都市・大規模校122校は7.4%に過ぎません。これだけ多様化が進むと、もはや小手先の見直しで対応はできません。国公私立の役割分担の見直しや大学機能分化、適正配置など、これからの高等教育の在り方を抜本から見直さなければなりません。

(2016年5月23日 日本経済新聞
(吉村 やすのり)

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