女性の健康課題による経済損失

経済産業省は、更年期症状や婦人科がんといった女性特有の健康課題による社会全体の経済損失が年3.4兆円程度に上ると試算しています。日本では働く人の44%を女性が占めています。健康課題への職場での理解の浸透や、最新技術を使ったケア、離職を防ぐ官民の取り組みが重要になっています。
月経に伴う腹痛といった月経随伴症状、更年期症状、婦人科がん、不妊治療の4項目を対象に、女性が働けなくなることなどの経済損失をまとめています。40~50代に多い更年期症状の経済損失が最大で、1兆9,000億円でした。更年期障害は、疲れやすいといった症状で男性でもみられ、経済産業省は男性の場合は1兆2,000億円に上るとしています。
女性の4つの症状の合計では、欠勤による経済損失は計4,300億円です。痛みなどによる業務中のパフォーマンス低下は1兆300億円、離職・休職は1兆6,800億円になる見通しです。更年期などの症状は重くなり離職を余儀なくされるケースもあります。
女性が自身の健康変化を分析し、それを働き方に反映できるような仕組み作りが大切です。経済産業省はそのため、女性の心身の課題をテクノロジーで解決するフェムテックの普及を2021年度から後押ししてきています。
政府も女性の健康課題の研究開発に力を入れています。厚生労働省は、国立成育医療研究センターを再編・拡充し、更年期障害などの女性に多い病気や不妊症の研究、治療法の開発を担う組織の創設を検討中です。

 

(2024年2月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。