女性アスリートの月経異常

 日本産科婦人科学会が、国内の約2,000人の女性アスリートを分析したところ、地方大会や全国大会に出場する水準になると6%程度が無月経で、運動しない一般女性の1.8%を明らかに上回っていました。新体操などの美しさを重視する競技は16.7%、マラソンなど持久力を必要とする競技の選手は11.6%と無月経の割合が高いことがわかりました。月経異常には女性ホルモンのエストロゲンの低下が関わっています。激しい運動でエネルギーが不足し、卵巣に送られる性腺刺激ホルモンが減ることにより、エストロゲンが少なくなります。無月経や月経周期異常などの症状が現れ、将来の不妊症などにもつながりかねません。
 エストロゲンの不足は疲労骨折の一因でもあります。エストロゲンは、古くなった骨の細胞を破壊する破骨細胞の働きを弱めます。破骨細胞が働きすぎると、骨粗鬆症に似た症状になります。日本産科婦人科学会などの調査では、持久力や美しさを競う競技や、レスリングなどのパワー系の競技で2割超が疲労骨折の故障を抱えていたことが分かっています。激しいトレーニングを課すと、エネルギーを消費するだけではなく、運動で交感神経が活発になり消化を促す副交感神経の働く時間が短くなり、エネルギー不足に陥りやすくなります。その結果、月経の異常や骨粗鬆症、貧血のきっかけになります。

(2016年10月2日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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