がん免疫療法の進歩

 免疫の攻撃力を生かすがん免疫療法の効果を高める併用治療法の研究が進んでいます。大阪大学のグループはセンダイウィルスというウイルスの一部を体内に投与し、免疫細胞T細胞の異物を排除する力を高めています。別の免疫細胞がウイルスを病原体と誤認し、T細胞に伝えます。がん細胞への攻撃も激しくなり、免疫チェックポイント阻害剤抗PD-1抗体だけであるオプジーボを使うより効果が増します。
 慶應大学のグループは、高脂血症薬スタチンを併用します。がん細胞を守るように働く制御性T細胞の動きをスタチンで抑えます。制御性T細胞は免疫細胞が過剰に働いて自分自身の細胞を傷つけないようにブレーキをかける役割をしています。その働きを操作してがん治療に生かします。がん免疫療法に使用されているオプジーボのような高額薬の効き目を強め、使用量を抑えて医療費を節約できるのではないかと期待されています。

(2016年10月3日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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