子どもの感染症の増加

国立感染症研究所によれば、4月22~28日の定点あたりの感染者数は、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎が4.66人、アデノウイルスによる咽頭結膜熱が0.70人、RSウイルスが1.73人です。過去10年の平均と比較すると、溶連菌は2.4倍、咽頭結膜熱は1.9倍に増加しています。RSウイルスは2018年に定点報告となってからの6年平均と比べ3.1倍です。

いずれも子どもに多く見られる感染症です。溶連菌は、例年新学期となる4~5月ごろに増える傾向にあり、夏風邪の代表でもあるアデノウイルスによる咽頭結膜熱も、今後増加する可能性があります。RSウイルスは、2021~2023年はコロナ前と比べて2~4歳以上の割合が高率でしたが、2024年は0歳の占める割合が高くなっています。乳幼児などでは重症化リスクが高まるため、手洗いなどの感染対策の徹底が大切です。
乳幼児に多いRSウイルス感染症は、これまで夏から秋にかけて流行することが多かったのですが、2023年は春に流行が始まり、7月には患者報告数はピークに達しています。夏風邪ヘルパンギーナも、2023年は5月頃に患者が増え始め、例年より1カ月ほど早い7月初めに患者報告数がピークに達しています。1週間あたりの報告数は過去10年で最多となっています。季節性インフルエンザは、例年より早く秋から流行が始まっています。
コロナ下は、外出控え、手指衛生やマスク着用を徹底するといった感染対策で、子どもたちが病原体と出あう機会が少なく、免疫が低下していました。病原体に対して免疫を得る機会が少なかったため、感受性がある状態のところに、ウイルスが広まったと考えられています。予防できる病気は確実にワクチン接種をして予防する、症状があれば園や学校に行かず、コロナ下で浸透した感染対策を続けることが大切です。

(2024年5月8日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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