子ども食堂の広がり

子どもに低額や無料で食事を提供する子ども食堂が広がってきています。2012年に東京都内でボランティアが始めた取り組みが、自治体や民間企業などにも担い手を広げ、2021年には全国6,000カ所を超えています。沖縄県、滋賀県などで加速しています。経済的困難を抱える世帯の支援にとどまらず、幅広い世代が集う場としても、欠かせない存在になりつつあります。子ども食堂は、交流拠点として幅広い役割を併せ持っています。コミュニティーが醸成されている地域ほど食堂が多い傾向があります。
厚生労働省によれば、中間的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の割合である子どもの貧困率は、2018年時点で13.5%となり、7人に1人が貧困状態にあります。母子家庭など大人1人で子どもを育てる世帯の貧困率が5割に迫っています。

東京都は設置数が全国トップで、小学校区内に立地する充足率も全国4位です。首都圏8都県のランキングでは、神奈川県が充足率・設置数ともに東京都に次ぐ2位で、ファミリー層が多い住宅地が広がる東京近郊の地域を中心に高くなっています。子ども食堂は、地域の大人が子どもに投資する場で、将来のコミュニティーを育て地域経済の基盤を作ることにもつながります。行政がメリットを理解して、意義の周知など市民活動を側面支援する姿勢を示すことが大切です。

(2022年7月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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