子宮移植を考える―Ⅱ

課題
生体移植は、肝臓や腎臓などで実施されていますが、提供者が死亡する事故も起きています。子宮の摘出手術は5~10時間かかり、大量出血の恐れもあります。肝臓や腎臓よりも手術のリスクは大きいとされています。そのため、検討委員会はルールに基づく臨床研究の形で少数例に限って容認しています。リスクを最小限に抑える最大限の努力と未知のリスクを含めた短期・長期的なリスクの評価を求めています。移植を受ける人の条件は、生まれつき子宮のないロキタンスキー症候群やがん治療で子宮を摘出した女性で、移植で出産できる可能性が高い概ね40歳以下などとしています。

 

提供を受ける側の負担も小さくありません。移植後は免疫抑制剤の服用が必要なうえ、子宮が正常に機能したとしても妊娠・出産に至るとは限りません。妊娠が成立しても早産にいたる可能性も残されています。分娩の際には帝王切開となり、出産後には子宮を摘出しなければなりません。母親の免疫抑制剤の使用による子どもへの影響についても長期のフォローアップが必要となります。

(生命倫理を考える ― 生殖医療の進歩の中で ―)
(吉村 やすのり)

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