子宮頸がんワクチンの副反応問題

 厚生労働省の研究班(代表祖父江友孝大阪大学教授)は、子宮頸がんワクチンの副反応に関する研究成果を報告しました。研究班は、全国の病院を対象に20157月~12月の間、子宮頸がんワクチンを接種した女性が訴える多様な症状がある患者を調査しました。頭痛や起立障害、けいれんなど約40の症状の有無に加え、これらの症状を有する患者が学校や会社に通えているのかどうかについても調べました。今回の調査は勧奨再開の議論の参考にするために実施されました。
 その結果をもとに推計すると、ワクチンの接種歴がない1218歳の女性の場合、人口10万人当たり20.4人の頻度で症状が表れました。一方、接種歴のある女性では、人口10万人当たり27.8人の頻度でした。接種しなくても症状を訴える人が同程度いることが明確になりました。今回の調査では、接種歴が不明で症状がある女性が多数いたことにより、接種歴のない女性の発症頻度は調査結果よりも高い可能性があります。しかし、年齢によって接種率の差が大きく、報道などをきっかけに接種者の方が症状を訴えやすいなどの偏りもあり、研究班にはより詳細な解析が求められます。
 疫学調査の結論は、ワクチン接種と接種後に生じた症状との因果関係は言及できないとしています。しかし、被害者側の反発には根強いものがあり、勧奨再開までの道のりは長いのですが、こうしたデータをもとに副反応検討部会での議論は早急に再開されるべきです。 

(吉村 やすのり)

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