子宮頸がんワクチンの訴訟

 23都道府県に住む1522歳の女性63人が、子宮頸がんワクチンの副作用で痛みや運動障害などの症状が出たとして国と製薬企業2社を相手取り、11,500万円の慰謝料などを求める訴訟を東京、大阪、名古屋、福岡の4地裁に起こしました。訴訟では、接種と症状との因果関係や、接種を勧めた国の責任の有無などが争点になるとみられます。2009年に発売された同ワクチンは、国が2010年から接種費用の補助事業を開始しました。20134月には、小学6年から高校1年を対象に定期接種となりました。しかし、接種後に痛みなどの症状を訴える女性が相次いだため、国は同年6月から接種の積極勧奨を中止しました。接種を受けた約340万人のうち、今年4月までに、2,945人について副作用が報告されています。
 原告側は、ワクチンの成分が免疫異常を起こして症状が出た、がん予防の効果は証明されていないなどと主張しています。国が製造販売を承認し、接種を勧めたことは違法だとして、製薬企業には製造物責任を問うとしています。国側は、成分が原因ではなく、接種時の痛みや不安などが身体に異常をもたらす機能性身体症状としています。また原告側は、同ワクチンの有効性よりも危険性の方が高いと主張しています。一方、製薬企業側は、ワクチンが世界130か国以上で承認され、世界保健機関(WHO)も接種を推奨しているとし、子宮頸がんについては、ワクチン接種による予防が重要だと強調しています。
 これまで接種と症状の因果関係を明確に認めた研究成果はなく、国と製薬企業は全面的に争うと思われます。

(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。