小児に対するワクチン接種

小児の感染比率が上昇しています。厚生労働省によれば、新規感染者のうち19歳以下が占める割合は、2020年の1割程度から上昇し、デルタ型が主流となった2021年夏以降は2割前後の水準に達しています。感染力の強いオミクロン型の発生で子どもへの感染がさらに拡大しており、各地で学級閉鎖などが相次いでいます。1月18日までの1週間で、10代の新規感染者は2万6,560人、10歳未満は1万3,050人と合計で約4万人となり、全体の24%を占めています。
小児へのワクチン接種は海外が先行しています。米国は、2021年10月末に5~11歳について米ファイザー製のワクチンの緊急使用許可を出しています。EUでも承認されています。
子どもは新型コロナに感染しても無症状や軽症が多く、重症化リスクが低いため、接種には慎重な意見もあります。子どもが多い地域では、集団接種会場を設ける必要が出てきます。他の子どもの泣き声などがすると、心理的な影響を受ける恐れがあります。緊張や接種の痛みから失神することもあり、十分な注意が必要になります。会場では経験豊富な看護師らが対応することが必要になります。子どもは接種への拒否感が強く、国立成育医療研究センターの意識調査によれば、小学生で接種したいと答えたのは55%です。
新型コロナウイルスに感染する子どもが急増するなか、5~11歳対象のワクチンが承認されます。日本小児科学会は、5歳から11歳までの子どもにも、12歳以上と同様に効果があるとの見解を出しています。特に糖尿病や神経学的障害、ダウン症など、基礎疾患があって重症化リスクが高い子どもについては、接種を強く推奨しています。副作用の可能性があるにしても、リスクのある子どもには接種のメリットの方が大きいと思われます。

(2022年1月21日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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