市販薬の過剰摂取

市販薬の過剰摂取であるオーバードーズは、若者を中心に急増しています。全国の主要52消防本部の集計によれば、2022年に医薬品の過剰摂取の疑いで救急搬送されたのは、1万682人にも達しています。年代別では10代以下が1.44倍の1,520人で、最も増加しています。搬送人数は20代の3,295人が最多で1.21倍に増えており、20代以下で全体の45%を占めています。

薬効別では身近な市販薬が多くなっています。厚生労働省研究班の調査によれば、解熱鎮痛薬が24.9%、咳止めなど鎮咳去痰薬が18.5%、風邪薬が18.0%の順です。搬送前に服用したのは、平均で約100錠に上っています。
風邪薬に含まれるエフェドリン系成分は気管支を広げますが、濃度によって覚醒剤の原料にもなります。鎮咳去痰薬などに含むコデイン系成分は咳を抑えますが、モルヒネの仲間で麻薬の一種でもあります。ブロモバレリル尿素は鎮痛効果があります。中枢神経に作用して大量服用や依存で中毒を起こします。米国では、エフェドリンなどを購入時に顔写真付きの身分証明書が必要です。日本では、100錠以上の瓶がドラッグストアやインターネットで未成年でも購入できる状態です。

厚生労働省は、販売時の対策を強化します。20歳未満に対して大容量や複数個の販売を禁止します。小容量1個を販売する場合でも、薬剤師などが乱用の恐れを伝え、顔写真付きの身分証で確認し、氏名などの記録を義務づけます。20歳以上は大容量や複数個の購入も可能ですが、薬剤師などが購入理由や写真付き身分証による氏名の確認などを条件とします。

(2024年1月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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