帯状疱疹の増加

帯状疱疹は、80歳までに約3人に1人がかかると言われています。顔や体の片側に激しい痛みが起きた後、痛みを伴う発疹や水ぶくれが帯状に出ます。原因の多くは、子どもの頃にかかった水疱瘡です。この病気を引き起こす水痘・帯状疱疹ウイルスは、水疱瘡自体が治った後も脊髄などの神経節に潜んで生き続けます。日本の成人の90%以上は体内にこのウイルスを持っています。
加齢や疲労などで免疫力が低下すると、神経節中のウイルスが急激に活動を始め、増殖し発症します。発症率は50代以降急激に増え、40代までは年に1,000人に3人程度であるのに対し、50代ではそれが約6人に、70代では10人を超えるようになります。高齢化の進展や2014年に水痘ワクチンが小児対象に定期接種化されたことなどが原因で急増しています。帯状疱疹の発症率は、2014年に1997年比約4割増、2018年には同約6割増となっています。定期接種の効果による感染者の減少で、ブースター効果が得られなくなっています。
帯状疱疹では、夜も眠れないほど強い痛みを経験する人もいます。顔面に症状が出た場合は、顔面神経麻痺や難聴、めまい、目の周りでは角膜炎などを起こし、まれに失明することもあります。50歳以上で帯状疱疹にかかった人の約2割が、3カ月以上痛みが続く帯状疱疹後神経痛になります。
帯状疱疹を早く治すには早期発見と早期治療がカギです。通常抗ウイルス薬と痛み止めを組み合わせた治療を行いますが、抗ウイルス薬は早く使うほど効果が出やすいとされています。皮膚症状が出て3日以内が望ましく、遅くとも5日以内に服用する必要があります。強い痛みが1~2週間続くならペインクリニックを受診し、神経障害性疼痛用の薬や神経ブロックなどが必要になることがあります。
帯状疱疹の予防や重症化、後遺症を防ぐためにも有効なのが帯状疱疹ワクチンです。現在、従来の弱毒化した生ワクチンと2020年に発売された不活化ワクチンの2種類があります。不活化ワクチンは生ワクチンに比べやや副反応が出やすく、2回の接種が必要で高額です。しかし抑制効果が高く、免疫が落ちた人でも使えます。

(2022年10月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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