幼保無償化による功罪―Ⅱ

保育の質の向上
幼児教育・保育の無償化により、当初見込み以上に利用者が増えています。保育の供給を増やす際に注意すべきは質の確保です。保育所は子どもの発達を通じ様々な利益を社会にもたらしますが、これは保育所の質が保たれていることが大前提となります。保育の質を保った上で量的に拡大するには、質の高い保育士人材の確保が必要となります。厚生労働省の調査によれば、保育士養成施設で保育士資格を取得して卒業した人のうち、保育所に就職するのは52%にとどまっています。
保育資格を持つ人が保育士として働かない最大の理由は賃金の低さです。保育士の平均年間給与は358万円で、全産業平均より3割ほど低くなっています。潜在的な保育士は数多くいるのですから、補助金などを通じて給与などの待遇を改善すれば、実際に保育士を増やすことができると思われます。十分な数の保育士を確保できれば、保育士1人あたりの子どもの数も低く抑えられるため、保育の質の維持にもつながります。

(吉村 やすのり)

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