待機児童の解消

 子どもの命を預かる重労働に見合わない給与水準の低さが、保育士の離職を促しています。資格を持ちながら働いていない潜在保育士は、全国に約70万人以上いるとされています。保育士の確保に加え、保育園をつくろうとしても騒音問題で住民が反対するケースも目立っています。安倍晋三首相は保育士の給与を2%、平均月額で約6,000円上げると表明しています。しかし、保育士の待遇改善などの保育園を含む社会保障制度全般の拡充は、財源問題がつきまといます。
 人材や既存施設の有効活用が重要となります。例えば幼稚園と保育園の垣根を取り払う幼保一体化です。保育園に入れない児童があふれる一方、2015年5月時点で幼稚園は全国で67万人分の空きがあります。少子化で子どもの数は減る一方、高齢化で介護施設の需要は伸びるので、保介一体は自治体も進めやすいものがあります。厚生労働省が待機児童解消に向けた緊急施策では、保育施設の定員を増やすなど5つの柱を示しています。安心して子どもを預けられる場所がなければ、女性は働きながら子どもを育てることはできません。

(2016年5月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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