性同一性障害の診療

 性同一性障害(GID)の診断には、体と心で性が一致していないことの確認が必要となります。女性の場合は、泌尿器科医か産婦人科医が体の性を、精神科医が心の性を確かめます。心の性は、他の精神疾患の影響などで一時的に体の性を否定している可能性を調べて判断します。診断結果が出た後、医師や法律の専門家らも交えた会議を開催し、総合的に手術の妥当性が検討されることになります。戸籍上の性別変更は、2003年に成立した法律で可能になっています。法務省の統計によれば、これまでに5千人以上が認められています。
 性別変更に必要な適合手術は、公的医療保険が使えません。費用は全額自己負担で一般に100万円以上かかります。法律で性別変更や手術することが認められていることより、保険適用も考慮されるべきと思われます。医療費の他に、手術を受けられる医療機関が少ない問題もあげられます。そのためGID学会では、診療経験20人以上などの条件を満たした医師を認定医とする制度を創設しています。今年3月、認定医9人を公表しています。5年間で50人の認定医を育てることを目指しています。

(2016年8月31日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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