年齢と妊孕性シリーズⅠ

卵子の質の低下
 卵子の質の低下とは、卵子が持つこの受精能力、受精後の発育能力、着床・出産にまで至る発育能力が損なわれることをいいます。年齢が高くなると、卵子の細胞質の構造や物質がダメージを受け、さまざまな機能が低下します。1つは、ミトコンドリアという細胞のエネルギーを作る細胞内の小器官がダメージを受けると、十分なエネルギーをつくることができず、卵子の機能は発揮できず、すなわち卵子の質の低下が起こると考えられています。その他にも、卵子の染色体の構造を正常な形に維持できなくなり、染色体異常が起きやすくなることが考えられています。
 着床前スクリーニングで判明した胚の染色体の異常は、もとの配偶子の染色体の異常を反映しています。図は、女性の年齢別に分けた染色体異常を持つ胚の割合を示しています。年齢の若い2223歳ではやや高いですが、20代の女性から作られた胚は染色体異常を持つ割合が一番低くなります。30代から徐々に高率となり、40代以上では胚盤胞に発育した胚でも6割以上が染色体異常胚になります。卵子の質は年齢によって低下し、妊娠・出産しにくくなると考えられています。

家族と健康 平成28年9月1日
(吉村 やすのり)

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