感染症の戦いの歴史

2019年12月に感染が確認された新型コロナウイルスは、瞬く間に世界に広がりました。2021年10月現在の累計感染者数は2億人を突破し、死者は500万人に迫っています。わが国は、これまで約170万人が感染し、死者は1万8,000人に達しています。人類の歴史は感染症克服の歴史そのものです。

次々と登場する変異ウイルスがコロナ禍を拡大・長期化させています。そもそもウイルスは自身で増殖できません。人や動物の細胞を媒介に、ウイルスのゲノム情報をコピーして増殖します。コピーを繰り返すうちに一定の割合でコピーミスが生じ、変異株が発生します。感染力の強いデルタ型はこうして発生し、ヒト社会に広がっていきました。
ウイルス感染を予防するために重要なのは、接触の回避とワクチンの普及だと言われています。流行が長期化すると、さらなる変異ウイルスの出現につながる可能性が出てきます。ワクチンも活用しながら、流行の波をできるだけ小規模で、短期間に抑えることが大切になります。
有史以来、人類は感染症との戦いの連続でした。ワクチンの開発や抗生物質の発見など、たゆみない努力と知恵で乗り越えてきました。ペストや天然痘、スペイン風邪といった過去の例を見ると、感染症との戦いは長期戦となることも珍しくありません。コロナ克服には腰を据えた取り組みが求められます。

(2021年10月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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