手術後のアプリで合併症の早期発見

患者は手術を受け退院した後、経過報告で定期的に受診します。これまでは、医師は主に問診で体調変化などを確認してきましたが、自宅での体調変化を正確に捉えるために、遠隔でモニタリングできる仕組みが開発されています。異常な値があったら、患者とやりとりして早めの受診を促し、緊急の場合は、医師からのメッセージを送ることができます。このアプリを利用することにより、術後の合併症や異変などを早期発見することが期待されています。
患者は、自分のスマホに入れたアプリに血圧や脈拍、体温、酸素飽和濃度などを毎日入力します。息切れや痛みなどの症状も記入しておきます。歩数は自動的に記録されます。医師は、1日1回以上院内のパソコンでデータを確認し、患者の状態を把握できます。異常があれば、予定を繰り上げ受診を促し、迅速に対応することができます。入院期間が短くなっている心臓病の術後管理でもアプリが活用できます。
アプリは報告しにくい症状を伝えるツールにもなります。例えば、手術後の合併症として起きやすい尿失禁などです。記憶に基づいて問診票などに記載すると、不正確となる場合があります。主治医への遠慮から、伝えられず違う症状を回答することもあります。
アプリによって退院後の受診や再入院を減らせることが示されれば、診療報酬でカバーされる仕組みを作るべきです。医療従事者にとっては新たな業務となるため、体制を整える必要があります。高齢者を含めて使いやすいアプリにするなどの工夫も大切です。

(2022年6月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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