救急不搬送

 救急隊の出動総数は、年々増加しています。それに伴い、119番通報で出動した救急隊が、誰にも運ばれずに引き返す「不搬送」が、ここ10年間に約5割増えています。高齢化などで緊急性の低い通報が増えていることが一因と思われます。こうした空振りの出動が増え続けると、重症者の搬送に影響する恐れが出てきます。朝日新聞の調査によれば、2014年の不搬送は634千件で、2005年と比べて46%増えていました。一方、救急車の出動総数は598万件で、同じ期間では13%増にとどまっています。出動に占める不搬送の割合は、大阪府や兵庫県、東京都、埼玉県など大都市圏で高い傾向がみられます。
 不搬送の理由は、家族らが通報したが搬送を拒む拒否が32%と最も多く、隊員が応急処置をして医療機関に搬送しない現場処置が18%でした。怪我人や病人がいなかった例や、誤報・いたずらは、11%でした。体調が心配で救急車を呼んだが、隊員に血圧などを測ってもらい安心した、家族が救急車を呼んだが、本人は病院に行く意思がない、到着時に明らかに死亡していたなどが含まれています。困ったら119番という傾向が強まる中、救急隊は呼ばれたら出動せざるを得ない状況が影響しています。

(2016年8月17日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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