救急医のミッドキャリアクライシス

救急医は40代を境に救急医療の現場を離れる傾向にあります。救急科は、他診療科に比べ平均年齢が低く、50代以上の年長者が少ないことが特徴です。救急科は夜勤・当直が多いことから、年齢を重ねて体力が低下するとついていけないと感じる人が多いのが一因です。40代というのは臨床スキルの面では成熟し、仕事のやりがいや面白さを改めて見つめ直す年代とも言えます。

ミッドキャリアである40代が救急の現場を離れることは、わが国の救急医療を考える上で大きな問題です。そのためには若者からベテランまで長く働き続ける体制の構築が重要となります。救急医は基本的にシフト制勤務のため、オン・オフの切り替えがはっきりしています。救急医療を集約化して一施設当たりの救急医が増えれば、高いパフォーマンスを発揮できます。そうすれば一人当たりの負担も減り、救急医が長く働き続けられる体制が構築できます。ミッドキャリアである40代が救急医療を続けることで、後進に道を示すこともできます。

(2022年12月5日 週刊医学界新聞 第3496号)
(吉村 やすのり)

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