新型コロナウイルスに関する研究成果

新型コロナウイルス感染症は、感染拡大から半年が経つにもかかわらず謎だらけです。その最たるものが、回復した患者は免疫を獲得するのかという疑問です。症状が改善した患者の3割で、抗体が検出されないとの報告があります。同じコロナウイルスでも、重症急性呼吸器症候群(SARS)などは、1~2年は抗体が残ります。一部の人で早く抗体が消えるなら、ワクチンを繰り返し投与する必要が出てきます。
新型コロナウイルスは軽症から重症まで様々な患者がいます。新型コロナが招く現象は、多くの人に共通する場合と稀な場合があります。そのため、重症度が異なる様々な人が研究対象となり、それによって色々な報告が飛び交っています。稀な現象の報告があたかも感染者に共通した特徴のように注目され、混乱が広がっています。
新型コロナは世界の地域ごとに感染状況が違います。免疫の仕組みについての知見は、ワクチンや治療薬の開発、感染拡大防止策にも関わり、各国のデータを満遍なく集めた解析が急がれます。新型コロナの謎は国際協調の動機づけには十分です。

(2020年8月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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