新型コロナウイルスのパンデミックに憶う

新型コロナウイルスの感染者数が、世界全体で50万人を突破し、死者は2万人を突破しました。欧米を中心に南米・中東・東南アジアでも広がり、世界の20億人以上が外出制限の対象となっています。米国の感染者数が、26日に中国を上回り、世界最多となりました。人口密度の高いニューヨーク州を中心に感染が急拡大しています。
わが国でも卒業式や入学式が取りやめになり、歓楽街から会社勤めの酔客も消えました。小池都知事を始め首都圏の知事も週末の不要不急の外出を自粛するように要請しています。東京都には、桜の名所が多く、この週末絶好の花見シーズンにも拘らず、花見そのものを控えることが求められます。
このコロナウイルスの感染を目の当たりにして、感染には国境がないことを思い知らされました。現代の人々の活動、経済や社会の仕組みが、国境を越えたものとなっていることを実感させられています。あらゆるものが国境を越えて流動化する、いわゆるグローバリゼーション、これまでは先進国の発展のキーワードとして考えられてきましたが、負の側面を露わにしたとも言えます。さらに自国優先の思考いわゆるナショナリズムが顕著になっている現在、自国の利害のみに向けた行動が、いかに無力であるかを示しました。お互いの違いを認め、多様性を理解し、尊重し合うことの大切さを教えてくれるような気がします。
現在の世界の危機的状況にあって、国際協調を通して解決していくことが不可欠であり、世の中の流布に惑わされず、主体的な独立自尊の精神を持って困難を乗り越えていかなければなりません。自然科学や人文社会学にわたる広範な学問やエビデンスに基づく知の基盤を結集して、現在人類が直面している危機的課題に対処することが求められています。

(吉村 やすのり)

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