新型コロナウイルスの感染拡大による診療制限

新型コロナウイルスの感染拡大により、医療体制が全国的に逼迫する状況に限り、大学病院などの特定機能病院や全国の主要病院が、手術や外来診療を制限する事態に追い込まれています。さらには医師・看護師を始めとする医療従事者の感染により、入院や自宅待機を余儀なくされ、診療制限に直結しています。この新型コロナウイルスは、症状のない人から感染し、手術を受ける人が実は感染者で、そこから感染が広がり、大量の院内感染につながることもあり得ます。それが通常診療にも慎重になる一因です。医療提供体制がもともと脆弱な地方では、院内感染のリスクは大きな脅威で直ちに医療崩壊となってしまいます。
東京都の高度な医療を担う特定機能病院では、手術は緊急手術を除き、軒並み延期されています。その結果、手術数はどこの施設でも大きく減少しています。手術前に、病院独自でPCR検査をする慶應義塾大学病院や京都大学病院も出てきています。1人約2万円の検査費は病院負担ですが、医療者の安全対策のためには実施せざるを得ない状況にあります。病状のない患者に対するPCR検査についても、術前に限り、保険適用を認めるなどの措置が必要となります。
新型コロナに対する感染対応は手術のみならず、通常診療の大幅な縮小を余儀なくされており、今後は病院内での役割分担が必要となってきます。診療への影響は他の病気の患者にも不安を与えています。特に難病など重症の患者にとっては深刻な問題です。日本移植学会の調べによれば、比較的、待機できる腎臓移植は、6割の病院が実施を見合わせていました。移植を待つ人を含め、腎臓病や肝臓病の患者は人工透析で命をつないでいる人もいます。透析患者は免疫の低下で感染しやすく、重症化する可能性が高いと言われています。他にも先天的な病気がある子どもや、血液の病気やがんの患者に、感染や診療制限の影響が心配されます。

(吉村 やすのり)

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