日本の将来推計人口

 過去の人口推計は、少子高齢化の動向を甘く見過ぎていました。1976年の推計では、その時点で1.9だった合計特殊出生率が、将来2.1に回復すると予測していました。実現すれば、日本の人口は将来も増えるはずでした。しかし、実際には出生率が急低下してしまいました。30年後の2006年推計まで、原則5年に1度の推計のたびに出生率の見通しが下方修正され続けました。現実の出生率は2005年に過去最低の1.26を記録し、日本の総人口は2008年の12808万人をピークとして減少に転じました。しかし、今回、将来の合計特殊出生率が1.445年前の前回推計より0.09高く見積もられています。景気と雇用の持ち直しなどを背景に、ここ数年の出生率がやや回復し、それが将来推計にも織り込まれています。仮に1.44を維持したとしても、子どもを産む世代の女性の減少により、出生数は減少していきます。
 将来の平均寿命についても、1976年推計では男性74歳、女性79歳にとどまると見ていました。しかし、2015年の平均寿命は、その予測を男性で約7年、女性で約8年上回っています。65歳以上が総人口に占める割合は、1976年推計では2020年頃に約19%で頭打ちとなるはずでした。しかし、実際には2015年時点で既に26.6%に達しており、新しい推計では2065年に38.4%まで上昇すると予測されています。

 

(2017年4月19日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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