本社機能の地方移転

 本社機能を地方に移した企業などを税制で優遇する改正地域再生法が、参院本会議で与党などの賛成多数で可決されました。大手を中心に企業の拠点がひしめく東京一極集中を緩和し、人口減が進む地方で働く場を増やそうというのがねらいです。税制優遇の対象になるのは、東京23区に本社機能がある企業が、地方に本社や研究所などを移したケ-スです。新たなオフィスなどにかかった費用を損失にして、法人税の負担を軽くする特別償却や雇用を増やした場合に納税額を減らす税額控除などで支援することになっています。
 政府が今回の優遇税制を始めるにあたって参考にしたのは、工作機械大手のコマツが、創業地の石川県小松市に本社機能を移した例です。結婚している30歳以上の女性社員の割合は東京勤務の5割に対し、石川では9割にも達します。その子どもの数も、東京の女性社員は1人当たり0.9人だが、石川は1.9人です。厚生労働省のまとめでは、昨年41日現在の石川県の待機児童はゼロです。地方に足場を置けば、出産などを理由に辞める女性社員を減らせることができることを示しています。

(2015年6月20日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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