東京都のチルドレンファースト政策

東京都のチルドレンファーストを前面に打ち出す子ども関連予算は、一般会計の2割にあたる1.6兆円を計上し、国に先駆けた事業も複数盛り込んでいます。都が表明した0~18歳の全ての都民への5,000円給付と第2子保育料無償化は、2事業だけで1,300億円超を投じます。

都は2022年度の予算編成から、子どもを生み育てやすい社会の構築を最優先課題とするチルドレンファーストを政策目標に掲げてきました。2年目となる2023年度予算案では、話題を呼んだ2事業で出産後の子育てにかかる経済的負担の軽減を図るのに加え、男女の出会いから結婚、妊娠・出産まで各段階の支援策を手厚くしています。
結婚支援では、結婚を希望する男女をAIでマッチングする事業を始めます。東京には進学や就職をきっかけに全国から若年層が集まるにもかかわらず、30歳時点の未婚率は、6割弱と全国で最も高くなっています。出会いの場の提供は、これまで民間サービスに任せていましたが、より踏み込んだ施策でカップルの誕生を後押しします。
働く女性が将来の妊娠の可能性を残せるよう卵子凍結に関する知識の普及啓発や、全国初となる助成制度の創設を見据えた調査も実施します。2024年度以降の本格実施に備え、2023年度は200人の卵子凍結支援を想定しています。妊活のために卵巣の中の卵子の数を推測する抗ミュラー管ホルモン(AMH)検査への助成も新設します。結婚を予定するカップルへの経済的支援策として、交通アクセスの良い公営住宅300戸に優先して入居できるようにする事業も盛り込んでいます。
地方が若年女性の流出に悩むのに対し、東京では未婚率の高さが出生数の減少につながっています。経済的支援だけでなく、若い世代が結婚・出産を前向きに考えられる労働環境の整備にも力を注いでいく必要があります。

(2023年2月3日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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