東京都の水道事業

東京都の水道事業が転換点を迎えている。老朽化した施設の改修や人口減少の時期が近づき、従来の運営のままでは料金を引き上げる必要が出てきます。東京都の水道設備の約7割は、高度成長期の1960~70年代前半に造られ、一斉に改修期を迎えます。今後、耐震工事をのぞく改修費は、毎年260億円もかかります。
もう一つが人口減少です。都内の人口は2025年にピークを迎え、2060年には16%減少すると予測されています。それに伴い水道料金収入も12%落ち込んでしまいます。東京の水道料金は消費税増税に伴う値上げを除けば、約四半世紀上がっていませんが、水道事業の収入全体の8割超を占める料金収入の減少は、水道財政を揺るがしかねない状況にあります。
都は運営の効率化によるコスト縮減を急いでいます。現在の機械式の水道メーターに変わるスマートメーターの導入です。電子メーターと通信機器を組み合わせた装置で、水の使用量などを自動検針してデータを送信します。スマートメーターを使うと、2カ月に1度の現地検針が不要で人件費を減らせるほか、水道管の消耗度合いなどを細かく把握し、水道管を効率良く管理できるようになります。

(2021年4月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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