果物による生活習慣病の予防

果物は各種ビタミン、ミネラル、食物繊維などを豊富に含んでいます。2017年改訂の動脈硬化性疾患予防ガイドラインは、果物が心臓病や脳卒中のリスクを減らす可能性があると示唆しています。グレープフルーツ、キウイフルーツ、ベリー類などの適量摂取を勧めています。
心臓病や脳卒中を誘発するのは、動脈硬化です。悪玉と呼ばれるLDLコレステロールは増えすぎると、血管の壁に付いて動脈硬化の原因になります。果物に含まれる食物繊維は、脂質の吸収を抑える働きがある。また腸内環境を改善し、免疫力を高めることにも役立ちます。
動脈硬化とも関係する高血圧は、原因のひとつとしてナトリウム(塩分)の取り過ぎが挙げられます。果物にはカリウムを含むものが多く、カリウムはナトリウムの排出を促すので、果物を適量食べるのは高血圧予防につながります。カリウムが豊富なのはバナナやキウイフルーツです。
活性酸素は、細胞を酸化させてダメージを与え、生活習慣病につながります。動脈硬化も、血液中でのLDLコレステロールの酸化で促進されます。柿やキウイフルーツに多いビタミンCをはじめとするビタミン類には、抗酸化作用があります。ブドウのアントシアニンなどのポリフェノール類、スイカのリコピンなどのカロテノイド類にも抗酸化作用があります。
健康日本21は、1日に200グラム以上の果物摂取を目標としています。ミカン、バナナ、キウイフルーツなら2個程度、リンゴや梨なら1個程度が可食部200グラムの目安です。多くの果物は大部分が水分で、カロリーの高い脂質もそれほど含んでいません。重さからするとカロリーは比較的少なく、適量摂取は肥満につながりません。最近の研究から血糖コントロールが必要な糖尿病患者にも適量の果物摂取が推奨されています。糖尿病患者は、グラムでなくカロリーで量を調整し、1日に約80キロカロリー分が望ましいとされています。

(2021年5月1日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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