染色体異常の胚の頻度

 着床前遺伝子スクリーニング(PGS)が実施されるようになって、10年以上が経過しました。最近になり検査法も改善され、体外受精によって得られた胚の染色体異常の頻度が調べられています。染色体異常の頻度は、女性の年齢が25歳より35歳前後までは低率ですが、40歳以上では半数以上の胚に異常がみられます。40歳を超えると、染色体異常の胚の頻度が急激的に増加します。また、胚盤胞まで達した胚の染色体異常のリスクは、42歳頃まで3割より低く、25歳から38歳まで1割以下となっています。
 形態的に良好な胚であっても、染色体異常の胚は流産になることが多く、何度も流産を繰り返すことになり、精神的な苦痛を増長することにつながります。また、こうした胚を移植することはクライエントにとっては、時間とコストベネフィットの観点から避けるべきだとの考え方もあります。しかし一方では、胚の選別につながり、異常な胚を棄て、正常な受精卵を残す選択は許されるのかといった根源的な問題提起もなされています。

(吉村 やすのり)

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