無痛分娩の有用性

無痛分娩は、麻酔を用いて経腟分娩の痛みを和らげる分娩法です。一般的に、硬膜外麻酔という麻酔法を使います。硬膜外麻酔は、背中の神経(脊髄)の近くの硬膜外腔というスペースに軟らかいカテーテル(管)を入れて麻酔薬を注入し、下半身の痛みを感じる神経を遮断する方法です。眠ってしまうわけではないので、会話は普通にできますし、新生児や授乳への影響はありません。
フランスでは全分娩数の65.4%、イギリスは20.8%と世界的にも普及している分娩法です。日本で2014~2016年に行われた無痛分娩は、お産全体の5.3%でした。日本では、お産は痛くて当たり前といった古い概念が根強い面があります。しかし、無痛分娩では、お産の痛みが軽減されるので、体力の回復が早く産後の育児が楽に始められるメリットがあります。
妊婦さんの痛みを軽減することは、循環動態(血流の状態)の安定をもたらします。また、精神的ストレスを回避して、安全な分娩を行うことができるようになります。そのため、妊娠高血圧症候群を合併する妊婦さん、さらに心臓や肺に持病がある妊婦さんにおいても、安心して経腟分娩に臨めます。
無痛分娩では、一般の分娩費用に加えて、麻酔管理料が5~20万円かかるので費用面も確認しておく必要があります。無痛分娩を検討する際には、24時間体制なのか、産婦人科医が複数いるのか、分娩の体制、緊急時の対応などを確認することが重要です。

(2019ー2020 Winter Anetis )
(吉村 やすのり)

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