特定妊婦の増加

児童虐待事件では、母親が産んだ子を手にかけるなど加害者になるケースが多くみられます。特定妊婦は、妊婦への母子手帳の交付時などに、自治体が貧困や孤立に関する情報を得た場合、児童相談所や警察からなる要保護児童対策地域協議会に登録します。保健師が定期的に家庭訪問し、必要に応じて生活保護などの支援につなげます。特定妊婦は、2009年改正の児童福祉法で支援の対象に位置づけられています。
全国の特定妊婦は2009年の994人から2019年には8,253人と8倍超にまで増えています。自治体は特定妊婦に対し、保健師の定期訪問などを行っています。2017年度には、厚生労働省が特定妊婦の相談に乗ったり、入所施設を提供したりする自治体に、運営費の半額を補助する制度を創設しています。
しかし、特定妊婦を受け入れる入所施設の設置が進んでいません。この制度で運営される入所施設は、大阪府と岐阜、福岡、大分、熊本県内の計8か所にとどまっています。広がらない要因の一つに、特定妊婦の健康管理の難しさがあります。突然の出産などに対応するには、助産師ら専門職が不可欠で、こうした医療人材の確保が困難だからです。

(2022年9月4日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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