男性の育休を増やすために

厚生労働省の統計によれば、男性の育休取得率は、2021年度は約14%に増加しています。しかし、女性の取得率が8割以上であることを考えると、十分とは言えません。取得日数も、女性は8割が10カ月以上ですが、男性は半分以上が2週間未満です。産後1年未満に死亡した女性の死因1位は自殺です。出産後の女性はホルモンのバランスが不安定になり、産後のうつのピークは2週間から1カ月程度まで続くと言われています。この時期に夫がサポートすることは大切です。
育児・介護休業法の改正で、4月から従業員1,000人超の企業に対し、男性育休の取得状況を年1回公表することが義務付けられます。育休を希望する若い人が増え、働きやすさの指標として投資家も注目しています。平均取得日数などを公表している企業もあります。

夫婦の7割が共働きですが、家事・育児は女性に偏っています。これがもう一人子どもが欲しくても諦める理由の一つにもなっています。1人目が生まれた時の夫の家事・育児時間が長いほど、第2子が生まれているという調査結果があります。男性が育休中に家事・育児に積極的に取り組むことは、大切な少子化対策です。家事・育児をしない、取るだけ育休では意味がありません。
男性育休を支援する厚生労働省のイクメンプロジェクトの推進企業の取り組み調査によれば、キャリアに関して相談できる仕組みや、会社全体での働き方改革の実施が最多です。社長自ら男性育休の重要性を内外に発信したり、育休取得者の事例を紹介したりする企業も増えています。父親学級を開催する企業や、同僚の理解を促すためカードゲームを用いた研修を手掛ける会社もあります。
日本は父親に認められた育休期間が長く、育休制度充実度は先進国中1位ですが、取得率は低率のままです。スウェーデンは、育休の一定割合を父母それぞれに割り当て、男性の取得が進みました。アイスランドは、父母それぞれ6カ月と父母共有の6週間の育休があり、男性の取得率は8割を超えています。政府は、育休取得が進むように現行では休業前賃金の67%の育休給付金を、男女ともに取得すれば一定期間8割とし、社会保険料の免除と併せた実質手取り10割を目指しています。

(2023年3月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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