男性の育休

国は、2022年10月に出産直後に取得を促す男性版産休を創設し、2023年4月には従業員1千人超の事業主に取得率を開示することも義務付けています。制度の充実は、取得率が低迷していることの裏返しです。厚生労働省によると、2020年度時点の全国の男性の育休取得率は12.7%どまりです。
男性の育休取得の上昇には、3つの高い壁が立ちはだかっています。上司や職場の無理解、収入の減少、復帰後のキャリア不安です。男性の育休取得率100%の大手企業も出てきています。ワーク・ライフバランスは、100%宣言企業100社を公表しています。現在は137社が宣言し、うち33社が一度は100%を達成しています。しかし、高取得率はゴールではありません。丸井グループの2025年度の目標には、取得率100%の維持に加え、育休を1カ月以上取った男性社員の割合20%や家庭における男性の家事・育児負担比率35%が挙げられています。負担比率は2021年度にクリアしています。

男性育休の理想は、早く・長くがモットーです。夫婦間で育児スキルのギャップができず、妻の復帰後もスムーズに協力体制が立ち上がります。子どもの成長における父性の大切さが強調されるようになってきています。また何よりも育児を自らの成長のためのツールとして捉えることが大切です。育休の経験は、必ずや企業の生産性向上やガバナンスのために役立ちます。

(2022年6月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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