男性育休に対する管理職の葛藤

日経ウーマノミクス・プロジェクトの調査によれば、男性育休に関する管理職は、育休を推奨したいと思っているのですが、業務への支障や人手不足に不安を感じるといった葛藤を感じています。
アンケートでは、部下が男性育休を取得する場合、現実的に受け入れやすい期間として、最多は1週間以上~1カ月未満で、1週間未満と合わせて31.3%に上っています。男性部下の育休取得にあたって不安に感じる点を挙げてもらったところ、業務のやりくりが57.3%、代替の人員確保が51.9%と多く見られます。代替の人探しが難しく、結局管理職がサポートに入り、苦しいとの声が上がっています。他の社員の理解を挙げた人も21.6%にみられます。
どのような施策があれば安心して男性社員に育休を取得させられるかという設問には、7割の人が迅速な人員の補充を挙げています。同僚の理解が39.5%、業務の軽減が36.8%と続いています。男性育休推進のメリットについては、仕事と家庭を両立できる職場づくりが75.1%で最多でした。業務の平準化・属人化の解消が48.1%、従業員のモチベーションの向上が42.2%が続いています。
育休を仕事と家庭の両立に生かすためには、家庭内ですることを育休前にきちんと決めておくことが大切です。長期間休むことで、個人の能力が落ちてしまうのではと思う人も多いのですが、会社全体で利益を落とさず、選択肢をできるだけ多く作る方法をうまく調整することが必要です。男性育休は働き方改革に向けた試金石です。今までのやり方を抜本的に変えないと進みません。

(2022年10月31日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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