社会保障関係費の圧縮

 医療や介護にかかる社会保障関係費は、日本の財政を圧迫してきています。歳出全体の3割以上を占めており、2000年度と2017年度の予算を比べると15兆円近く増えています。このため、政府は、高齢化の進展に伴う社会保障関係費の自然増を、20162018年度の3年間について、それぞれ年間5,000億円程度に抑える目標を立てています。2017年度予算では6,400億円と見込まれた自然増を、一定の所得のある高齢者が自己負担する医療費の上限額を引き上げることなどで1,400億円圧縮しました。
 自然増を圧縮する対策の柱となるのが、診療報酬と介護報酬の見直しです。2018年度も診療報酬をマイナス改定にすれば、2回連続となるだけに強い政治力を持つ医師会や与党の反発が予想されます。また、必要以上に検査を行うといった過剰診療など、効率の悪さが指摘される地域での医療費削減にも取り組む考えです。都道府県別の一人あたりの年間医療費には、17万円もの違いがあります。医療費の抑制は、病院経営には逆風になるだけに実行は容易ではありません。

(2017年4月13日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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