米国での保育

 米国では、保育に対して国や自治体による運営補助がないため、高額な保育料負担が家計を圧迫しています。米国では民間企業や非営利団体が保育所を運営しています。低所得者向けプログラムなどを除き、公費補助を受けた認可保育所は存在しません。このため親の勤務状況とは関係なく、空きがあれば原則、誰でも利用できます。しかし、給料の大半が保育料に消えることも珍しくありません。米国の子育てに関する調査によれば、01歳児の保育料は年間約50250万円、4歳児は約40190万円です。州により差がありますが、31州で州立大学の授業料より高くなっています。
 最近では18歳未満の子どものいる母親の間で、専業主婦の割合が上昇しています。高騰する保育料が一因です。日本とは逆に、高額な保育料を払うより、仕事を辞めて子育てを選ぶ母親が増えています。米国でも多くの保育所は保育士の人材確保に苦心しています。保育士の年収の平均は2万2,310ドルで、時給にして約11ドルと清掃作業員より低く、これが保育士の離職率の高さにつながっています。米国も保育士の待遇を改善しつつ、保育料の負担を抑えるという難題を抱えています。

(2016年6月14日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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